第七章 目立たないのがモデルの努め
話によれば外国人もわれわれアジア人の顔を判別しづらいという。
わたしはセリエAに中田と柳沢がいたとき、何故かイタリア人の気持ちになって深く戸惑った。
別に似てない。そう思うかもしれない。
ならばアドリアーノやらトンマージやらルイ・コスタやらトッティやらを想像した後で、この二人を交互に思い浮かべてほしい。まるでポップコーンの正一と正二のようにシンクロし、やがてしっくりと同一化するだろう。
そんな中、ルー・リードと柴俊夫という物件にはどう取り組めばよいのだろうか。
もちろん双子でもなければ人種も違う赤の他人である。この場合、二人の偉大な霊長類が並んだその絵面だけが勝負であり、実際似ているかどうかはさほど問題ではない。さきほど合理的、と言ったがこちらはさしずめゴリ(以下略)
また非生産的な回想にふけってしまった。さっさと本題に移ろう。
今回はわたしが初めに直面した問題、「モデルがみんな同じ人に見える」というお話である。
ランウェイ予想をした後は、コレクションが始まるのを待って画像をチェックするのがモデルファンの日課となる。
ここで初めて自分のターゲットであるモデルを確認し、「こんなところにおった」とか「今年は手抜いてる」とか「おひねりをあげてもいい」とか勝手な感想が口をついて出るわけだが、内容はどうであれ、確認できたならその時点でそれはハッピーエンドである。
まず、彼らはあるテーマに沿った同じメークやヘアスタイルにされていることが多い。この時点でもともとモデルが持っている目立った特徴というのがほぼ消される。
するとどうなるかというと、結果的に皆同じような外見になる。つまりどこかしら似てくるということだ。
そんな中で、一枚しかない静止画像で帽子やサングラス着用しかもヅラ、という場合、犯人を特定するのはほとんど不可能である。
マティアスかもしれない。でも違う誰かかもしれない。
こんな自問自答を何度繰り返したことだろう。
これはもう、モデルの仕事ぶりを褒めるしかないといったところか。
そう言えばわたしの父はいつも、保育園の運動会などで8ミリ撮影を任されては、見事な別人ばかり写してきて毎回母に怒られていた。
もちろんこの場合、同情はいっさい無用である。
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2007年08月28日モデル ランウェイ
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